Tungsten Version 2.10をリリースしました。
変更点
- Windows Vistaを動作対象外に
- タブ配置設定機能を追加
- Blinkエンジンバージョンアップ
- Blinkエンジンの機能強化
- Blinkエンジンが起動できない場合の問題回避のための引数指定に対応
- その他の仕様変更
- バグ修正
※Blinkエンジンの最新版、PGOビルド、x64版はフォーラムを覗くと何かあるかもしれません。
Windows Vistaを動作対象外に
Blinkエンジンのバージョンアップに伴い、Windows Vistaを動作対象外としました。 Tungstenの動作にはWindows 7以上が必要です。
タブ配置設定機能を追加
フォーラムにて、タブの位置を左(もしくは右)に変更してタブを縦方向に表示できるようにしてほしいという要望を複数の方からいただきました。
一時はTungstenのスタートメニューの中にタブを表示させてツリー型タブを考えるなど、いろいろ検討しました。
しかしながら、どの方法も複雑になってしまうという懸念が解消されませんでした。
実装のしやすさなども考慮した結果、ツリー型は見送り、タブバーの配置を変更できるようにしました。
グループ単位でタブバーの配置を独立して変更できます。
※ツリー型は引き続き検討します
また、クイックスタートを隠すと既存のボタン類(Tungstenスタートボタン、最小・最大・×ボタン)が重なってしまうので、クイックスタートを非表示にした場合に限りタブ1段目は縦配置ができないようにしました。
Blinkエンジンのバージョンアップ
Blinkエンジンを56.0.2924.87にバージョンアップしました。
Tungstenでは、以下のような独自修正を行っています。
- Chromium 55から削除された文字エンコーディングの変更機能を復活
- アクティブでないブラウザウィンドウのチルトホイールイベントが正しく動作しないバグの修正
- 不要機能の削除(Google Now、Googleアカウント同期機能、Chromiumアンインストーラー、翻訳、Chromium固有のブックマーク、履歴、ブラウザオプションの一部、chrome://components/で表示される一部のコンポーネントなど)
- chrome_watcher.dllの依存関係を削除
クラッシュの原因調査関連機能なので削除しました。 - デフォルトのプロファイル(--user-data-dir)のフォルダー位置をTungstenが使用する場所に変更
- パスワード保存確認を情報バーに表示させるように変更
- コンパイラ最適化オプションの一部変更によるわずかな高速化
Blinkエンジンの機能強化
以下のようなBlinkエンジンの機能強化を行いました。
ディスクキャッシュ設定を追加
Blink固有設定から、Blinkエンジンが使用するディスクキャッシュの場所、キャッシュのサイズ上限が変更できるようになりました。これに伴い、Tungsten 2.08までで設定していたキャッシュサイズ上限(1バイト)を廃止しました。従来の設定通りにディスクキャッシュを抑制したい場合は、キャッシュサイズを1バイトに変更してください。
chrome://flagsに設定項目を追加
「サンドボックスを無効化する」、「DOM Distillerを有効にする」、「レンダラプロセス数を制限する」、「Backspaceキーによるナビゲーション移動の有効化」の4つを追加しました。
(試験機能) ffmpeg.dllの差し替えでH.264, AAC, MP3を再生可能に
同梱のffmpeg.dllからH.264、AAC、MP3デコーダーを搭載したffmpeg.dllに差し替えることで、 それらのHTML5ビデオが再生できるようになりました。 これにより、Twitterタイムライン内や動画配信サイトの動画などが再生できるようになります。
この機能はあくまでも試験機能であり、DLLの差し替えに関するサポートは一切行いません。 各自の責任の下で実施してください。参考
(試験機能) Widevine DRMに対応
NetflixやAmazonプライムビデオなど、動画配信サイトで使用しているWidevine DRMに対応しました。
※正常に再生できることを保証するものではありません
※Widevine DRMコンポーネントの本体がダウンロード済でなければ再生できません
※本体を即時にダウンロードしたい場合は、chrome://components/からアップデートを確認してください
(試験機能) 文字の濃さ設定を追加
Blink固有設定の「フォントをカスタマイズ」ボタンを押したときに表示される「フォントとエンコード」設定に「文字の濃さ」を追加しました。 游ゴシックや游明朝がスタイルに設定されたウェブサイトを表示すると文字が淡くなる問題を回避することが可能になります。 数値は小さいほど濃く、大きいほど淡くなります。既定値は1.00です。
以下の制限・副作用があることにご注意ください。
- Chromiumのフォントキャッシュの仕様により、設定が即座に反映されない場合があります。
- 埋め込みビットマップのあるフォントでボールドフォントがない場合に表示されるボールドフォント(合成ボールドと呼ぶ)は、色味が変わることがあります。
※chrome://flags/#lcd-text-aa でサブピクセルレンダリングを無効化することで回避可能 - サブピクセルレンダリングを無効にした場合、かつ数値を1.0未満にした場合、合成ボールドの文字が滲んで表示される場合があります。
※内部的にはガンマ補正をかけていることから、画像内の「ガンマ」は文字の濃さの値のことを示しています
Blinkエンジンが起動できない場合の問題回避のための引数指定に対応
Blinkエンジンのセキュリティ強化機能であるサンドボックス化が原因でページ表示ができない環境が存在します。
Tungsten 2.10からTungstenの起動引数に--no-sandboxを追加することでサンドボックス化を一時的に無効化することができるようになりました。chrome://flagsで永続化することもできます。
ただし、セキュリティリスクが高まるので、正常に動作しない場合にのみご使用ください。
その他の仕様変更
- Blinkエンジン使用時に国際化ドメイン名がアドレスバーに表示される際にPunycode表記に変換されないようにした
- ブラウザ設定内のマウスジェスチャー項目をDELキーで削除できるようにした
- お気に入りやクイックスタートの変更でfaviconを削除するようにした
- ポータブル版でのバージョンアップ確認メッセージと動作を変更
- 日本語版・英語版のバイナリを共通化
バグ修正
以下のバグを修正しました。バグ報告を行ってくださった方に感謝します。
- DWM(Windows Aero)無効時にWindows標準のタイトルバーが表示される
- Blinkエンジンにてパスワード保存確認情報バーが表示されない
- Blinkエンジンにて2バイト文字を含んだファイルパスを表示させるとアドレス検索バーが文字化けする
- BlinkエンジンのCrashpadの保存場所がTungstenプロファイル内ではない
- Windows 10で初回起動時にBlinkエンジンの新しいタブを開くとChromeスタートガイドページが表示される
- 一部環境でローカルフォルダーからTridentエンジンに切り替えできない
- ローカルフォルダーにてシステムフォルダー表示時のfaviconのファイル名に".ico"が余分に追加される
- その他、細かなバグ
すでにTungstenをお使いの方は、デフォルトでTungstenの起動時に通知されるようになっています。
その指示に従ってダウンロード・インストールを行ってください。
ダウンロードページからでもOKです。